甘楽社小幡組由来碑
石碑が伝える「かかあ天下」の歴史
構成文化財
甘楽旅は、日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」の構成文化財に認定されている甘楽社小幡組由来碑からスタート。
JA甘楽富岡の敷地内に建っている大きな歴史を感じる石碑は1917年(大正6年)に建てられたもので、1878年(明治11年)に発足した製糸会社・甘楽社小幡組の歴史と発展を伝えるために建てられた由来碑です。
この石碑には、「村中が養蚕に携わっていて、製糸をしない女性はいなかった」と書かれていて、この地域の養蚕製糸業を女性が支えていたことを伝えています。
碑に書かれている文字を読み解こうと頑張っていたら、すぐ隣に現代語訳がありました!(笑)
当時、甘楽町の女性が皆養蚕に携わっていたということがこのような形で残っていることに驚きました。この頃から群馬の女性は働き者だったんですね!
- 群馬県甘楽郡甘楽町大字福島1761 JA甘楽富岡甘楽支所内
楽山園
織田氏ゆかりの庭園で絶景を堪能
車を走らせ「楽山園」へ。
甘楽町は、織田信長の次男・信雄から8代152年間にわたり織田氏に統治されていた城下町です。楽山園は、江戸時代初期に織田氏によって造られた小幡藩邸の庭園で、群馬県内唯一の大名庭園です。
大きな門をくぐりぬけると、THE 日本! といった感じの美しい日本庭園が広がっています。楽山園は、綺麗な庭を眺められるだけでなく、歩いても楽しめるように造られた、江戸時代初期の池泉回遊式の庭園で、広い昆明池の周りに48のいろは石が配され、周囲の山々を借景として取り込んでいます。
園内の一番高い場所にある「梅の茶屋」は、中に入ることができます。
縁側に座ってみると、殿様になったかのような贅沢な気分に。庭園の全体、さらには遠くの山々までも見渡せる絶好のフォトスポットです!
ゆっくり園内を散策し、「凌雲亭」でお抹茶をいただきました。 季節を感じる、和三盆のかわいい干菓子は優しい甘さで上品な口溶け。抹茶に良く合います。ここから見る庭園の景色もまた絶景でした。
昆明池には鯉が泳いでいて、餌もあげられます。せっかくなので餌を買ってあげてみました。
しかし、近くにまったく鯉がいない・・・。
が、しばらく続けていると、、、こんなにいたの!?とビックリするほどのたくさんの鯉が!!池の遠くの方から波を作りながら押し寄せてくる様子は、映画「ジョーズ」を思い起こさせます。あっという間に餌は終了。子供も楽しめそうです。
のんびりゆったりできる楽山園は、外国の方にも楽しんでいただけそうな素敵な庭園です。
- 群馬県甘楽郡甘楽町大字小幡648-2
御殿前レストラン
PRETORIO(プレトリオ)
白いミートソース!?城下町小幡で味わう本格イタリアン
ランチは、楽山園から歩いていける距離にある「御殿前レストラン PRETORIO」へ。個人宅として使用されていた洋風の古民家をリノベーションしたイタリアンレストランです。店名は、甘楽町の姉妹都市・イタリアのチェルタルド市の旧城郭にある「プレトリオ宮殿」の名前に由来しているそうです。
イタリアを感じられる開放的な店内で、厨房にはピザ窯も見えます。
甘楽町の食材とイタリアチェルタルド産のオリーブオイルを使ったお料理の数々。何にしようかなぁ・・・
甘楽町特産の味噌「轟(とどろく)みそ」が入った、「轟みそ風味のラグービアンコ」をオーダーしました。
味噌風味?!
どんな味なのか想像がつきませんでしたが、あっさりとしていながら飽きがこない万人受けしそうなパスタ。味噌をたっぷりと使っているのかと思いきや、シェフにお話を聞いたところ、「隠し味程度に使っているだけ」とのこと。でもでも、お味噌のコクと風味はしっかりと活きています!
塩ベースのシンプルな味付けに、甘楽町産のお野菜やキノコにたっぷりと入ったひき肉、それらがパスタと絡み合った瞬間!口の中がまるでメリーゴーランドみたいに幸せ・・・。まさに、「トマトの入らない白いミートソース」です!
こちらは、菜園風トマトソーススパゲティ。
シェフは「ご高齢の方もたくさん来るので、味付けは癖がないように仕上げている」とおっしゃっていました。甘楽町の「PRETORIO」は、お客さまへの配慮も感じられるステキなお店です。
- 群馬県甘楽郡甘楽町大字小幡820
甘楽町歴史民俗資料館
レンガ倉庫は甘楽町の宝物でいっぱい!
構成文化財
城下町の風情を残す雄川堰沿いを歩いていると、レンガの建物が見えてきます。ここは1926年(大正15年)に建てられた繭や生糸を保管するためのレンガ倉庫で、甘楽社小幡組の建物です。
戦時下に工場が閉鎖されるまで利用されていましたが、現在は、甘楽町歴史民俗資料館(旧小幡組製糸レンガ造り倉庫)として甘楽町の歴史を紹介しています。こちらも日本遺産の構成文化財の1つです。
早速館内へ。甘楽町の年表が飾られています。甘楽町の歴史がこのレンガ倉庫の中に凝縮されているのかと思うとワクワクします。
職員の方にお蚕様にまつわることをたくさん教えていただきました。お蚕様は、牛や豚と同じ家畜の一種なので「一匹」ではなく「一頭」と呼ぶことや、蛾になった姿は真っ白で美しいが、飛ぶことも食事をすることもできないということ。お蚕様が吐いた最初の絹糸は、さわり心地が明らかに違うこと。など、今まで知らなかったことばかりでした。
そのほかにも、養蚕農家で実際に使われていた養蚕器具や、お蚕様の神様が祀られていたり、当時の養蚕農家で使われていた高級便器が展示されていたりと、展示を通して当時の甘楽町で養蚕業がいかに繁栄していたのかを想像することができました。
これは富岡製糸場を建設する際、甘楽町の小幡にある長厳寺裏の連石山(れんせきざん)から基礎石を切り出して運搬した大八車の車輪です。直径が83.5cmもあるこの車輪は、当時の一般的な大八車の3倍の大きさだそうです。富岡製糸場が操業を開始したのが1872年(明治5年)なので、150年ぐらい前の物・・・。歴史を感じます。
小幡藩で実際に使われていたデザインの「来場記念スタンプ」もGET!1階も2階も興味深い展示品がずらりと並んでいるので、ぜひ足を運んでいただきたいです。
本当に貴重な資料の数々が展示されていて、さらにお蚕様への愛が深まりました。お蚕様、育ててみたいな~。
- 群馬県甘楽町大字小幡852-1
治田呉服店
明治にタイムスリップ!工女姿で街歩き
富岡市内に移動して、「治田呉服店」へ。富岡製糸場では全国から募集された工女さんたちが働いていました。工女さんは袴姿で仕事に従事していたそうです。ここ治田呉服店では袴をレンタルして着付けいただき、街歩きに出かけることができます。
ずらりと並んだたくさんの着物! どれもデザインが違い、全部かわいくて選べません!
迷いに迷って、細かい花柄が春らしい渋いピンク色の着物を選んで着付けをしていただきました。バッグ、髪飾りも貸してくださり気分はすっかり工女さん。
工女さんは、着物の袖を働きやすいようにカスタムする方が多かったそうです。富岡市内に呉服屋が多いのは、富岡製糸場と密接な関係があると教えてくださいました。
また、富岡製糸場の周辺に飲食店や劇場、映画館などができて町が栄えたのも、週休制で働いていた工女さんたちが、余暇を楽しむ際に利用したから。というお話や、終業時間になると、富岡製糸場の前には工女さんに求婚する独身男性が行列を作った
なんていう教科書には載らないであろうお話も聞きました。
工女さんになった気分で次なる目的地、富岡製糸場へ向かいます。当時からこんな着物を着ることができた工女さんって間違いなくお洒落さん&VIPだったと思います。
富岡は歩いていると街中に休憩スペースがたくさんあります。訪れる人に優しい街です。
富岡市の観光拠点「お富ちゃん家」。富岡に着いたら、まずはここに立ち寄ってから街歩きに出かけるのがオススメです。色々な情報を収集し、地元産のお土産なども買うこともできます。富岡市のイメージキャラクター「お富ちゃん」とおそろいの服装の私。
上州富岡駅から富岡製糸場までを結ぶ「まちなか周遊観光バス」が走っています。乗り降りも自由で富岡市内をガイド付きで回れるので、このバスを利用するのもオススメです。
- 群馬県富岡市富岡1128
富岡製糸場
日本の近代化を支えた世界遺産
いよいよ旅のクライマックス。「富岡製糸場」へ。
富岡製糸場は1872年(明治5年)、明治政府が日本の近代化のために最初に設置した官営模範器械製糸場です。1987年(昭和62年)3月に操業を停止した後も、建物は片倉工業株式会社によって大切に保管され、その後、2014年(平成26年)6月に「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産一覧表に記載、世界遺産登録となりました。
まず入り口から見える東置繭所。綺麗な煉瓦造りの建物は圧巻!この建物の土台に、甘楽町歴史民俗資料館で見たあの大八車で運んだ石が使われているみたい!!今日学んだことが繋がっていきます!
東置繭所では、スタッフさんがフランス式繰糸器(復元機)で糸取りをされているところを目の前で見ることができました。
小さな看板に書かれている文字や部屋の標識などもほぼ当時のままの状態で残っています。
繰糸所の中へ。長さ約140メートルの繰糸所には300釜の繰糸器が並び、操業当時、製糸工場としては、世界最大規模だったそうです。ここで全国から集まったたくさんの工女さんが働いていたんですね!!
繰糸所内には「ニッサンHR型自動繰糸機」が保存されています。この機械は、煮た繭から生糸を繰糸する全工程を自動化した機械です。富岡製糸場には1966年(昭和41年)頃から導入され始め、操業が停止されるまで稼働し続けていたそうです。
工女さんや職員のための診療所も敷地内に!!
富岡製糸場の創業後約50年間、繭から生糸を作る繰糸器の動力源として使われた「ブリュナエンジン」の復元機が展示されていました。復元機は実物大!間近で見ると、その大きさに感動!!
大正時代中期ごろに建てられたとされる社宅も公開されています。昭和の暮らしを展示するギャラリーになっているほか、座繰りによる糸取り体験や、繭や生糸を使ったクラフト体験もできます。
座繰り体験コーナーで糸取りを体験させていただきました。
見学には解説員さんによるガイドツアーがオススメです(1回200円)。30分間隔で実施していて、解説員さんが解説をしながら場内を40分ほどかけて案内してくれるので、製糸場について詳しく知ることができます。
自分のペースで回りたい方は、音声ガイド機の貸し出し(200円)もあるのでぜひ利用してみてください。
世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」では、富岡製糸場が圧倒的に知名度がありますが、他にも「高山社跡」「田島弥平旧宅」「荒船風穴」が世界遺産に登録されています。いつか全部の場所を巡ってみたいと思いました。
まずは荒船風穴かな!?
- 群馬県富岡市富岡1-1