白瀧神社
きぬ旅のスタートは桐生織発祥の地から
構成文化財
桐生のきぬ旅は白瀧神社からスタート。白瀧神社は、桐生織発祥の地と言われている場所で、織物の神様ともされる、天八千々姫命(あめのやちちひめのみこと)と白瀧姫の御霊が祀られています。
「西の西陣、東の桐生」と言われているように、桐生は全国有数の絹織物の産地として知られてきました。その織物を京都から桐生に伝えたとされるのが白瀧姫です。白瀧姫という名前も、なんと美しい!白瀧神社には、昔から絹織物に関係する方々が多く足を運んでいたのかなぁ。
境内で圧倒的な存在感を見せる大岩「降臨石」。この石は、石の中から機を織る音が聞こえると言われていたそうです。近づいて、石に耳を当ててみると、、、
聞こえなかったー!!笑
それにしても岩の大きさに驚きました。
社殿の背後にそびえ立つ、樹齢300年以上と伝えられている大きなケヤキや、境内を覆うような葉やコケが、神社の長い歴史を物語っていました。どこか優しい雰囲気のする境内で、気持ちの良い時間を過ごし、パワーがみなぎりました。
白瀧神社は、日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」の構成文化財に認定されています。
- 群馬県桐生市川内町5-3288
宝徳寺
季節の移り変わりを感じる山あいの寺院
白瀧神社からほど近い、臨済宗の寺院「宝徳寺」へ。宝徳寺は1450年頃(室町時代)に創建された寺院で、私も大好きなお寺です!
宝徳寺といえば、毎年5月と11月に「床もみじ」を一般公開していることでも有名です。ピカピカに磨かれた28畳の本堂の床に庭のモミジが映り込む様子は言葉を失うほどの美しさ。気づいたらカメラロールが床もみじの写真だらけになってました!
5月 春の床もみじ
11月 秋の床もみじ
床もみじに目を奪われがちですが、後ろにある双龍が描かれた襖にも注目です!
境内には入口で迎えてくれる「六地蔵」をはじめ、「ほほえみ地蔵」、「よろこび地蔵」、「しあわせ地蔵」など、可愛らしいお地蔵さまがたくさんいます。すべての顔が違うので、全部探したくなっちゃいます。お地蔵さまの笑顔を見ているだけで、ほっこり優しい気持ちになりました。
私が一番心ひかれたのは、このお地蔵さま。階段の手すりのところで、階段を上り下りする参拝者を見守ってくれているように見えました。
大みそかには、地域の人たちを集めて、昼間から除夜の鐘をつくそうです。案内看板に従い、私も祈りを込めて鐘を鳴らしてみました。
「ゴーン」
鐘の音が響き渡ります。祈りが届きますように。
お参りを終え、御朱印をいただきに。種類がたくさんあるのでどれにしようか迷っちゃう。
四季折々、様々な表情を見せてくれる宝徳寺は、御朱印もとってもかわいいんです!通常の御朱印のほかに季節限定の御朱印もあるので、御朱印帳をお持ちの方にはおすすめです。持っていない方も欲しくなること間違いなし!
今回はこれに決定!お地蔵さんと、どんぐりのイラストで秋が表現されている月替わりの御朱印を選びました。他の季節にも、ぜひまた行きたいです。
高台にある境内からは桐生の山並みも見えるので、身体も心もリラックスできました!
- 群馬県桐生市川内町5-1608
桐生おりひめ倶楽部
手ぶらでOK!レトロな着物で散策へ
桐生=織物!せっかくなので着物を着て散策へ向かいます。桐生おりひめ倶楽部では着物一式がレンタルできるので手ぶらで体験ができます。
用意していただいた着物の中から選んだのは、落ち着いた小豆色に淡い白やピンク色の花模様が描かれた、レトロさと上品さを持ち合わせた大人な着物。着物の柄を引き立たせてくれるような優しいピンク色の帯も素敵です。
「着物文化を伝えたい」という想いで着物のレンタルと着付けをしている山本代表。着付け教室も開講しているそうです。
着付け完了! 「行ってきまーす!」
着付けていただいた着物は、着ていても苦しかったり動きにくかったりということがビックリするほどなく、本当に着心地が良かったです。着崩れすることもなく1日過ごすことができました。桐生に足を運んだ際には、風情ある町並みを美しい着物姿で散策してみてはいかがでしょうか。
- 群馬県桐生市巴町2-1810-17
藤屋本店
桐生名物「ひもかわ」。数え方は「本」ではなく、もはや「枚」!?
着物を着て、まずは腹ごしらえ!ということで向かったのは、1887年創業の老舗「藤屋本店」。開店直後なのにすでにお店の前には行列が。大人気のお店です。
ここの名物は、なんといっても幅広い麺が特徴の桐生のご当地グルメ「ひもかわ」!おいしそうなメニューの中から、「鴨せいろ(ひもかわ)」をオーダー。幅広の麺が折り畳まれたような状態でお皿に綺麗に盛り付けられていて、味だけでなく見た目も楽しめます。
食べるときも、するりと落ちないように緊張しながらパクリ! もちもちツルッとしていてコシがあり、のどごし最高!上品なお汁のダシもコクと深みがあっておいしかったです。
藤屋本店では、すべてのメニューを「ひもかわ」に変更できます。
からっと揚げたカツにソースを絡め、ほかほかご飯の上に乗せたシンプルな「ソースカツ丼」も桐生の人気ご当地グルメです。かつて織物のまちとして栄えた桐生市には多くの工員が働いていて、仕事の合間にさっと食べられる手軽さから、ソースカツ丼の人気は瞬く間に上昇したそうです。現在でも、市内にはソースカツ丼の専門店がたくさんあるそうです。
「ソースカツ丼」と「ひもかわ」を両方楽しめる「ソースカツ丼セット(ひもかわ)」もオススメです!
- 群馬県桐生市本町1-6-35
桐生市桐生新町
伝統的建造物群保存地区
重要伝統的建造物群保存地区は映えスポットの宝庫
桐生市の本町1丁目・2丁目及び天神町の一部には、400年ほど前に桐生天満宮を起点としてつくられた在郷町・桐生新町の面影を残す古い建物が数多く残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていて、日本遺産の構成文化財にも認定されています。
町を歩くと江戸後期から昭和初期に建てられた主屋や土蔵、ノコギリ屋根工場などいろいろな建物が残り、現在では、カフェや飲食店、多目的施設などに形を変えて利用されています。
こちらは「矢野本店」。圧倒的な建物の存在感!!
現在の店舗は大正5年に建てられたそうです。お茶やお米が販売されており、店内に併設されている「喫茶有鄰」では、軽食やスイーツ、ドリンクが楽しめます。
矢野本店裏の敷地にある「有鄰館」。本町通りに面している西側の煉瓦蔵が目を引きます。
酒・味噌・醤油を醸造、保管するために使用されていた11棟の蔵群が、現在は舞台・展示・演劇など様々な用途に利用されています。かつては矢野本店を所有している株式会社矢野(旧株式会社矢野商店)さんが所有していましたが、平成6年に桐生市に寄贈されたそうです。
散策してみると、歴史を感じるレトロな建物が創り出す綺麗な町並みに心が躍り、思わずたくさん写真を撮ってしまいました。町並みと着物の相性も◎
私は祖父母が桐生に住んでいるので、この場所は数え切れないくらい来ていましたが、大人になって改めて桐生の歴史の深さに感銘を受けました。
遊園地・動物園~まちなかコースと新桐生駅~重伝建コースの2ルートで土日祝日のみ運行している低速電動コミュニティバス「MAYU」。どちらのコースも有鄰館前に停車します。乗車料金はなんと無料!桐生市太っ腹です!低速で走行しながら車内では観光ガイドも行われます。
伝統的建造物群保存地区
- 桐生市本町一丁目及び二丁目の全域並びに天神町一丁目の一部
ベーカリーカフェレンガ
町の皆に愛されるノコギリ屋根のパン屋さん
路地裏に入ると、イギリスのレンガ造りの建物が見えてきました。
「ベーカリーカフェレンガ」は、ノコギリ屋根のパン屋さん。大正時代に建てられ、桐生に唯一残っているレンガ造りのノコギリ屋根工場で、かつてはレース織工場だったそうです。
窓をのぞくとおいしそうなパンが並んでいて、奥でパンを焼いている様子が見えます。いい香り〜。早く食べたい!!
天井が広い開放的な店内には焼き立てのパンが並び、パンの良い香りに包まれています。ドリンクも注文できて店内でいただけるので、ほっと一息つけました。調理パンや菓子パン、食パン、サンドイッチなど、すべてお手頃価格なので、ついついたくさん買ってしまいそうです。外観もおしゃれなので、買ったパンと一緒に写真を撮ってもよさそうですね!
食パンをノコギリ屋根の形にカットした「のこぎり屋根のフレンチトースト」。手乗りサイズの「ノコギリ屋根」。外はさくさく中はモチっとしていて、ふわふわ!やさしい甘さが、ほろ苦のカフェオレとベストマッチ。見た目も味もGOODです。
週末には店内でピアノやシャンソンの生演奏も行われているそうです。家の近くにこんなお店があったら、通いたい!
- 群馬県桐生市東久方町1-1-55
絹遊塾工房 風花
絹についてさらに深堀り!座繰りに挑戦!
ベーカリーカフェレンガで一息ついた後は、併設された「絹遊塾工房風花」へ。ここでは、絹を染めたり織ったりして作品を作ることができます。
今回は、「座繰り」に挑戦。座って作業をするから「座繰り」と言うのかな?と思っていましたが、座繰り器で生糸を巻き取っていく製糸方法を「座繰り」というのだそうです。冒頭から勉強になります。
繭を加熱すると糸が引き出されてきます。繭1個では糸が細すぎるので、数個の繭から引き出された糸を一本の生糸にするために水面をやさしく触ります。
これを「繭の糸口を探る」と言うそうで、「会話の糸口を探る」という言葉の語源とのこと!水面をやさしく触っていると、繭から引き出された糸が1本にまとまりました!
今回使った繭の色にびっくり!綺麗な黄色のこの繭は、群馬のブランド「ぐんま黄金(こがね)」というブランドシルクなのだそうです。
右手で水面を回しながら左手でハンドルを回し続けてしばらくすると、糸車に生糸が巻き付けられ、黄金に輝いています!キラキラしていて白い繭とはまた違った風合い。
触ってみると、何もつけていないのに何かで固めたようにパリっと硬くなっていました。これは、絹から出る「セリシン」という成分が、糊のような性質を持っているからだそうです。繭にはどこまでも驚かされます!!
奥の空間では、機織り体験もできます。この日もたくさんの方が真剣に織り作業をされていました!好きな色の糸やデザインを選んで、初心者でも1日でストールを作ることができるそうです。次は私もストール作りに挑戦!
- 群馬県桐生市東久方町1-1-55 ベーカリーカフェ レンガ 付設工場内
織物参考館“紫”
体験型の織物博物館で機織りに挑戦
構成文化財
旅の締めくくりは、日本遺産構成文化財の「織物参考館“紫”」へ。ここは織物会社「森秀織物」に併設された体験型織物博物館です。
門をくぐると、ノコギリ屋根の展示室が見えてきます。ここでは、展示資料や体験を通して染色技術や織物文化の発展の歴史などを知ることができます。
館内に展示されている資料の数は、なんと、1200点!歴史順に展示された資料その一つ一つが、桐生の織物の歴史を物語っています。
この博物館では、手織りや藍染めなど様々な体験ができますが、今回は、手織り体験に挑戦しました。
足と手を使って織っていくのですが、これがまた難しい!!スタッフの方に手と足の動かし方を教えていただきながら進めていきます。
「右、左、横、足、とんとん」-。
簡単に見えるけど、いざやってみると手と足が思い通りにすらすらと動きません(笑)!
一定の動作を繰り返すこと数回、、、、織れています!!!わずか1cmほどでしたが達成感があります!
これを何時間、何日、何か月もかけて織っていた昔の方は、織物ができあがったときは本当に嬉しかったと思うし、だからこそ大切にされていたのではないかなと思いました。
スタッフさんの案内で階段を上ってみたら、ノコギリ屋根の様子や桐生の山々を一望することができました。
今では織物を機械で織ることができますが、現在に至るまでの機械の進化や機械の仕組みを間近で見ることができるこの場所は、県内や県外をはじめ、外国の方にも足を運んでいただきたいスポットの一つです。
- 群馬県桐生市東4-2-24